私が黒にんにくに出会ったきっかけ
私が黒にんにくと出会ったのは、本当に偶然でした。もともと、にんにくに携わる仕事をしていたわけではありません。以前は、陶磁上絵付加工業をしており、全くにんにくとは関係のない仕事をしていました。
ある時、知人が「にんにくを熟成して、黒にんにくを売っていきたいから、村瀬君のところで熟成してくれないか?」と、依頼が来ました。
私が窯を持っていることを知っていたため、私のところに、にんにくの熟成を依頼してきたのでした。それが黒にんにくを知ったきっかけです。
ただ、そのときの黒にんにくは中国産。正直に言うと、そのときはあまりやりたいとは思えなかったというのが本音です。理由は、いくら栄養価が高い食品とは言え、はじめて食べた黒にんにく(中国産)が、私にはあまりおいしいものだとは思えなかったからです。しかし、その知人が「熟成加工だけ手伝って欲しい」ということで、私はにんにくの熟成加工を引き受けることになりました。
青森県産のにんにくに出会う
そんなきっかけで黒にんにくを熟成加工していた頃、また偶然、青森県産のにんにくの熟成の依頼が入りました。料理研究家の方の依頼で、イベントで使うということで、「青森県産のにんにくを2万個、熟成して欲しい」という注文が舞い込んできたのです。
試食のために、青森県産のにんにくで作った黒にんにくを食べたとき、私は中国産のにんにくで作ったものとは全く違うと感じました。中国産のにんにくで作った黒にんにくは、食べてもおいしいとは思いませんでしたが、青森県産のにんにくは本当に甘くておいしかったのです。「同じにんにくでも、こんなに違うものか?」と思ったことを覚えています。
なぜ青森県産のにんにくは甘いのか?
その秘密は、青森の環境にあります。にんにくは、土が冷たいほど糖度が高まります。青森の土の上には雪が積もっていますから、土の中の温度がずっと変わらず冷たいのです。結果、青森県産のにんにくは、黒にんにくにすると糖度が約50度以上にもなるのです。
にんにくは栄養価が高い野菜のひとつとして知られています。「栄養価も高く、これだけおいしいなら、世の中に広めるべきだ」そう思った私は、青森県産のにんにくで作った黒にんにくを、試しに近所のゴルフ場に100個ほど置かせてもらえないかと頼みに行きました。すると、すぐに70個の黒にんにくが売れたのです。評判もよく、私は「間違っていなかった」と確信しました。
それから更に、私はどうすればもっとおいしく熟成できるか? を試行錯誤して、黒にんにくの製法にはこだわってきました。熟成させすぎると酸味が増えて酸っぱくなってしまいますし、一定の温度で熟成するのではなく、3日に一度にんにくの状態を人の目でチェックして、状態に合わせて温度を変化させながら約1ヶ月熟成しています。出来上がったにんにくの表面が水っぽくなってしまわないように、食感を良くする工夫もしています。(詳しい熟成方法は企業秘密ですが…)
近所のゴルフ場での販売から始まったムラセの黒にんにくですが、今は、年間30トンを出荷するまでになりました。これからも、更においしい黒にんにくを作る試行錯誤を続けながら、黒にんにくを世の中に広めていきたいと考えています。元気に健康のままでいたい方、疲れがなかなか取れなくて困っている方、代謝を高めてダイエットをしたい方など、、、黒にんにくは、そんな方々のお役に立てる食品だと信じています。